【まちなかストーリー】絵本の店「キルヤ」 星野紀子さん 第2回「絵本の魅力と、絵本の店のお仕事」

まちなかで活躍する人にスポットを当てて、そのヒトの街に対する想いや物語を紹介する「マチナカストーリー」。
前回のヘアサロン バビロン(Babylone)の松谷さんから紹介いただき、7人目は絵本の店 キルヤの星野さん。全3回に分けて、毎週お届けしていきます。

今週は第2回、「絵本の魅力と、絵本の店のお仕事」についてお話していただきました。

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人物紹介


星野 紀子さん
15年前に埼玉県北浦和から浜松へ。30年続いた絵本の店「えれふぁんと」の店舗を引き継ぎ2009年5月に絵本の店「キルヤ」を開業。子供の頃から大好きだった絵本の仕事に就く。様々な方にゆっくりと絵本を見てもらえるようにゆったりとしたスペースで、お店の雰囲気にあったお気に入りの絵本が並ぶ。店内はまさに星野さんの優しい雰囲気があふれる絵本の世界。ちなみに、学生時代の部活は水泳部。

お店のウェブサイト:絵本の店 キルヤ


前回の記事:第1回「浜松で絵本の店をはじめたきっかけ」

絵本のお店の店内では個展やワークショップも開催

今はクリスマス関連の絵本を展示していますが、ここは絵本はもちろん、絵本以外にもいろいろな作家さんの個展をやったり、ワークショップをやったりもしています。(取材日:2016年11月21日)

展示に合わせて作家さんが何か企画をやってくれることが多いです。作家さん以外では、木工やクラフト関係の方であればそれに合わせたテーマのワークショップをやっていただいたりしています。

ーー絵本作家さんだけではないんですね

そうですね、ありがたいことに他の方にもやってもらっています。全国に絵本作家さんはたくさんいるのですが、絵本作家さんの場合は来てもらうのが大変だったりで、たくさんお店には呼べない事情がありまして…

この地域の絵本作家さんといえば、「はずかしがりやのおつきさん」の作者のスズキコージさん。そう、私も小さいときからあの絵本を持っているのにあの本の作者さんがスズキコージさんだってことを意識していなくて。

私が持っているものはひらがなで「すずきこうじ」って書いてあるので、絵は同じだなーって思っていたんです。

スズキコージ – Wikipedia
スズキ コージ(1948年2月28日 – )は、日本の絵本作家。本名、鈴木 康司(読みは同じ)。
血液型B型。 1948年2月28日、静岡県浜名郡小野口村(現浜松市浜北区)に生まれる。静岡県立浜松西高等学校卒業後上京し、赤坂の割烹料理店にて住み込みで働きながら、歌舞伎町などの路上にて作品を発表。「平凡パンチ」の編集者だった叔父のつてで堀内誠一に見込まれ、「平凡パンチ」女性版(「anan」の前身)にてイラストレーターとしてデビューする。1971年初個展を開催。2014年、「スズキコージの絵本原始力展」(姫路市立美術館)を開催。

ーー今までで一番好きな絵本って選ぶとしたら何ですか?

「はずかしがりやのおつきさん」は好きですけど、いやーうーん、選べないですね、難しいですね…うん、難しい。今までじゃなくて今だと…今だとなんですかね、3時間位考えていいですか?笑

んー実は、最近ちょっと弱っていたので。ちょっと弱ってきてるときは、だいたい読む作家さんがあるんですよ。絵本の作家さんじゃないですけど、自分がそれを読んで、ああちょっと今はだめなんだなって分かる。その著者の本に手がいくって言うことはそういうことなんだっていうバロメーターになるということに、最近気がついたんですけどね。

(この質問にすごく迷われて、たくさんたくさん考えていらっしゃいました)

ーー星野さんは自分で文章を書くとか、絵を描くとか、ものを作ったりとかっていうのはされますか?

実は浜松に来る前に、仕事で陶芸をやっていたんです。前は本当に陶芸をやりたくて学校を卒業して、その窯元に行って働いていたんです。でも、浜松に来てからは全然やっていないです。

文章を書くというのも絵本の紹介とかをやらせていただいていて月1で描いたりしてたこともあるんですけど、今は特に何もしていませんね。ちょっともったいないかも。

ーー絵本の講師とかもされていますよね

イベントや催し物の企画で呼んでくださることがあって、そういうときはなるべくお断りはせずに行きます。文化センターで月イチで講座をやらせてもらっていて、これは文化センターの方からお声がけくださって。

小規模な講座で、おおよそテーマを決めて、絵本を10冊くらい持っていってお茶を飲んだりおしゃべりしたり。私が絵本を紹介しながら読む、ゆるゆるな会です。本の紹介をするので、普段目にしないような本だったり、決めたテーマの本だったり、どういうアプローチをするかっていうのによってもぜんぜん違う本が選べて楽しいです。

受講してくださっている皆さんにも絵本を持ってきてもらって、持ち寄りしたりもします。なので、半年ごとに講座のスケジュールを組むのですが、最後の6回目の枠は皆さんに持ってきていただいて、みんなで読むということをやっています。

でも、だいたい「先生、読んでー」ってなるんですけどね笑 本当は皆さんに自分で読んでもらって、私が聞く方に回るつもりだったんですが…おとなになると、絵本を読んでもらうことって本当に無いのでそれはそれで貴重な機会なのかもしれません。

ーー絵本といえば、読み聞かせはどうですか?

私なんかがと思ってしまうのですが、読み聞かせってやっぱりちゃんとされている方がたくさんいらっしゃって、私が読むのっておそらくものすごくお叱りを受けそうなやり方かもしれません、ちゃんとしていないので…

あんまりこういうことを言うと怒られてしまうかもしれませんが、本を読むことってものすごく個人的なことだと私は思うんですよ。その絵本を誰かに読むとしても、自分の子供だったり、子供の友達だったり。そういう小さな中で。という感じだと思うんです。

なので、教室や幼稚園でいっぱい人がいて、たくさんの人に向けて読むっていうことがちょっと苦手といいますか…ちゃんとしていないので、どこに伝えていいのかわからなくなっちゃうんです。先程の講座だと6・7人くらいなんですが、10人位だとおそらくちょっと後ろの方に座った方とか「絵見えますか?」ってなったり。

大丈夫って言ってもらえればいいんですが、うーん、そう考えると自分がどうしていいかわからなくなっちゃうんですね。

ーー本を紹介するという立場の方がやりやすい…とかですかね?

やっぱり私にとっては「本は個人的なもの」ってことなんだと思います。

絵本は1人で読むとか、誰かと読むとか、沢山の人の前で読むとか。色んな場面がありますよね。絵本はそういうことをすごく考えて作られていて、声に出して読むか、目だけで読むか…いろんなことが考えて作られているのが絵本だと思うんです。

だから人それぞれ、いろんな方がいて、いろんな楽しみ方があって、やっぱり最後までじっくり読んで納得して買いたい人もいれば、第一印象でぱっと選んで家に帰ってじっくり読むからっていう人もいれば、おすすめはどれですかって聞いてそれを楽しみに買っていく人もいます。

読む人によってもまた変わって、お父さんの声で読む絵本と、お母さんの声で読む絵本もまた雰囲気が違いますよね。お父さんの声っていいんですよ、声のトーンがちょっと下がるので。


次回の公開予定は2/3(金)、最終回です。お楽しみに!